贈り物として旅行を選ぶとき、行き先まで贈る側が決める必要はあるのでしょうか。
60代・70代向けの少人数ツアー「シュミタイム」は2026年9月、受け取った本人が体験を選べるギフトサービスを発表しました。注目したいのは商品そのものに加え、顧客の声を次の体験につなげる事業運営でのAI活用です。
この記事の要点
- ギフトの行き先は受け取った本人が選ぶ設計
- 2026年9月時点の発表では延べ参加者6,381人
- AIによる顧客理解を掲げる一方、個別最適化の効果は未検証
体験ギフトは何を変えるのか
株式会社ジェイエルネスが2026年9月15日に発表した「シュミタイムギフト」は、日帰りツアーを贈れるサービスです。贈る側は8,000円・12,000円・16,000円の券種を選び、受け取った側が専用ページから行き先を選択します。
一般的な旅行のプレゼントと異なり、本人が体験の内容を決められる点に特徴があります。選択の自由を残すことは、好みや体力、外出への心理的な負担が人によって違うシニア世代にとって意味のある設計と考えられます。

利用実績から読めること
同社の2026年9月17日の発表では、2025年9月のサービス開始から約1年で延べ参加者が6,381人に達しました。この数字は参加完了となった申込の参加人数を積み上げたもので、固有の利用者数ではありません。
| 延べ参加者 | 6,381人|2026年9月7日時点 |
|---|---|
| 1名での申込 | 95.7%|参加完了申込のうち1名申込の割合・n=6,084 |
| 90日以内の再申込 | 37.1%|初回参加から90日以上経過した人を対象・n=2,542 |
95.7%は「利用者の95.7%が一人暮らし」という意味ではありません。また37.1%も全利用者の継続率ではなく、会社が定義した対象者・期間に限る再申込割合です。数値はいずれも同社調べであり第三者監査済みの指標とは確認できません。
AIはどこで使われるのか
ジェイエルネスは、LINEでのやり取り、AI相談、アンケート、ツアー中の会話などから顧客の「やってみたい」を把握し、次の体験企画に生かす方針を説明しています。
ここでのAIは本人に代わって旅行先を決定する仕組みとは区別すべきです。公開資料で確認できるのは顧客理解と企画への活用方針であり、AIによる推薦精度、導入前後の業務時間削減、個別提案が再参加率を押し上げたという因果効果までは確認できません。
事業モデルから考える価値
少人数で好みに合う体験を提供するには、従来であれば相談対応や企画づくりに多くの人手を要します。そこで顧客の声を整理し、企画担当者が判断しやすい状態にするAIの使い方には可能性があります。
ただし、AIがコストを確実に削減したと断言する根拠はありません。人が安全性と体験品質を担い、AIが情報整理を支えるという役割分担は、現時点ではK-Brainによる事業上の考察です。
残された課題と確認事項
ツアーサービスでは移動負荷、緊急時の対応、案内の分かりやすさが体験品質を左右します。顧客の発言や参加履歴を扱う場合には、利用目的の説明、同意、保存期間、データの取扱いも重要です。
同社はプレシリーズAで総額3.7億円を調達し、2026年12月から関西エリアへ展開する計画を発表しました。これは2026年9月時点の計画であり、11月1日時点で関西展開が完了したことを意味しません。拡大に伴う運営品質の維持は引き続き確認が必要です。
まとめ
この事例で重要なのはAIを前面に押し出すことではなく、本人が体験を選びやすいサービスの裏側で、顧客理解を支える仕組みを育てようとしている点です。
AI導入を評価するときは自動化の規模だけでなく、選択の自由、実際の利用者体験、安全性、継続可能な事業運営を一緒に見る必要があります。
出典と確認範囲
本記事は企業の公開発表と提供された報道記事を基に編集しています。実績値は企業公表の集計であり、外部検証やAIの効果測定を確認したものではありません。掲載画像はすべて説明用の生成イメージです。


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