※「K-Brain 地域デジタル教室」は現在、初回開催に向けて講座内容と運用方法を準備しています。本記事は開催実績の紹介ではなく、今後の教室で大切にする考え方と、予定している学習内容を紹介するものです。
高齢者向けのデジタル教室というと、スマートフォンの文字入力や写真の撮り方を思い浮かべるかもしれません。
しかし、本当に必要なのは操作方法だけではありません。
今のデジタル社会では、画面に表示された内容を信じてよいか、押してよいボタンか、誰かへ相談すべき場面かを判断する力も必要です。
合同会社K-Brainでは、初回開催に向けて準備している「K-Brain 地域デジタル教室」の基本原則を、次の3つに定めています。
慌てない
すぐ押さない
相談する
この3原則は、スマートフォン、パソコン、メール、SNS、生成AIのすべてに共通する考え方です。
なぜ操作方法だけでは足りないのか
警察庁が2026年7月3日に公表した暫定値では、2026年5月末までの特殊詐欺の認知件数は18,067件、被害額は1,514.7億円でした。
SNS型投資詐欺、ニセ警察詐欺、SNS型ロマンス詐欺など、電話だけでなく、広告、メッセージ、SNS、偽サイトを入口とする被害も深刻です。
機器を操作できても、表示された情報を信じてよいか判断できなければ、安全に使えるとはいえません。
例えば、次のような表示や連絡があったときは、操作を続ける前に立ち止まる必要があります。
- 今日中に支払うよう求める
- 警察、役所、金融機関を名乗って送金を求める
- 当選、還付、未納、口座停止などの言葉で不安をあおる
- 知らない相手からURLが届く
- 「必ずもうかる」「元本保証」などと表示する
- パスワードや暗証番号を入力させる
- 画面を遠隔操作させようとする
相手が公的機関を名乗っていても、その連絡先をそのまま信用せず、公式サイト等で確認した窓口へ自分から連絡し直すことが大切です。
最初に学ぶ予定の基本操作
危険性だけを強調すると、デジタル機器を怖く感じ、使うこと自体を避けてしまう可能性があります。
そのため、K-Brain 地域デジタル教室では、生活に必要な基本操作から無理なく進められる構成を準備しています。
- 電話をかける、受ける
- 文字を入力する
- 写真を撮る
- 検索する
- 音量を調整する
- 前の画面へ戻る
- アプリを閉じる
- 通知を確認する
大切なのは、速く操作することではありません。
自分で元の画面へ戻れること、分からないときに操作を止められることを重視します。
詐欺や偽サイトへの対処も講座に含める予定です
消費者庁は、高齢者向けの消費者教育教材として、スマートフォン利用時の注意点や、ショートメッセージによる架空請求、宅配便を装う詐欺などを学べる教材を公開しています。
K-Brain 地域デジタル教室でも、公的機関が公開している最新の注意喚起を確認しながら、次のような内容を取り入れる予定です。
- URLを開く前の確認
- 広告と検索結果の見分け方
- パスワードや暗証番号を求められたときの対応
- 公的機関を名乗る連絡への確認方法
- 家族や相談窓口へ相談するタイミング
- 不審な画面を閉じる方法
詐欺の手口は変化するため、一度覚えて終わりではありません。最新情報を確認し、分からないときに相談できる習慣を身につけることが重要です。
生成AIは「答えを決めてもらう道具」にしない
生成AIは、文章の下書き、言葉の意味の確認、旅行や料理のアイデア整理などに役立ちます。
一方で、誤った情報を自然な文章で返すことがあります。
個人情報保護委員会も、生成AIサービスを利用する際には、入力する情報と、サービス提供者による利用目的や取扱いを確認するよう注意を促しています。
今後の講座では、生成AIを利用するときの基本として、次の点を扱う予定です。
- 氏名、住所、電話番号を入力しない
- 口座情報、パスワード、暗証番号を入力しない
- 他人の個人情報を入力しない
- 医療情報など、慎重な取扱いが必要な情報を入力しない
- AIの回答をそのまま正しいと決めつけない
- 行政、医療、法律、金融の重要な判断は、公式窓口や専門家へ確認する
生成AIを避けるのではなく、できることと任せてはいけないことを区別して使うことが目標です。
スマートフォンだけでなく、パソコンも選択肢にします
高齢者向け講座はスマートフォン中心になりがちですが、パソコンには大きな画面と物理キーボードがあります。
画面を広く見渡す、複数の情報を比較する、文章を入力するという点では、パソコンの方が理解しやすい人もいます。
K-Brain 地域デジタル教室では、年齢だけで使用機器を決めず、本人が見やすく、操作しやすい方法を選べる講座を計画しています。
スマートフォンかパソコンかを競わせるのではなく、目的や得意な操作に合わせて使い分ける考え方です。
一度の講座で全部覚える必要はありません
デジタル庁は、デジタル機器やサービスに不慣れな人へきめ細かな支援を行う「デジタル推進委員」の取組を進めています。
2026年7月には、教える側が利用できる情報を集めた「教える人のためのデジタル情報ひろば」も更新されています。
デジタル機器の操作は、一度説明を聞いただけで完全に覚えるものではありません。
分からないことを聞ける、同じ内容を繰り返せる、間違えてもやり直せる場が必要です。
K-Brain 地域デジタル教室も、一方的に説明して終わる講座ではなく、参加者が自分のペースで確認できる地域の学び直しの場を目指して準備を進めています。
K-Brain 地域デジタル教室が目指すもの
K-Brain 地域デジタル教室は、高齢者を「できない人」や「助けられるだけの人」として扱う教室ではありません。
これからのデジタル社会を安全に使うために、必要な知識と判断方法を学び直す場として設計しています。
予定している主な内容は、次のとおりです。
- スマートフォンとパソコンの基本操作
- 詐欺や偽サイトへの対処
- 個人情報とパスワードの守り方
- 生成AIとの安全な付き合い方
- 分からないときに相談する方法
講師が参加者に代わって送金、決済、契約、アカウント管理、医療判断、投資判断等を行うものではありません。また、パスワードや暗証番号を預かることもありません。
まとめ
高齢者や初心者が最初に身につけるべきなのは、操作の速さではありません。
- 慌てない
- すぐ押さない
- 相談する
この3原則を土台に、基本操作、詐欺対策、個人情報、生成AIの注意点を学べる講座を準備しています。
デジタルを避けるのではなく、安全に使える範囲を少しずつ広げることが目標です。
「K-Brain 地域デジタル教室」は現在、初回開催に向けて講座内容と運用方法を準備しています。開催時期や募集方法が決まり次第、合同会社K-Brainの公式情報でお知らせします。
地域団体、施設、自治体、会場運営者の方で、初心者・高齢者向けデジタル安全講座の開催や協力に関心がある場合は、合同会社K-Brainへご相談ください。
────────────────────────
【参照情報】
デジタル庁「デジタル推進委員の取組」
https://www.digital.go.jp/policies/digital_promotion_staff
デジタル庁「教える人のためのデジタル情報ひろば」
https://www.digital.go.jp/policies/digital_promotion_staff/curation
警察庁「令和8年5月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260703/01.html
消費者庁「高齢者向け消費者教育教材(動画)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/teaching_material/movies_for_seniors
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/

